低位舌がマウスピース治療で治った、11歳の男の子
低位舌を「マウスピース治療」と「MFT」で治療した症例
最近テレビ番組でも、「低位舌」の特集が組まれ、目にすることが多くなります。
低位舌だと、歯並びが悪くなる事は、ご存知でしたか!?特に下の前歯が見えない場合は要注意です。
今回は、低位舌をトレーニングで治した結果、歯並びも良くなった11歳の男の子を紹介します。
お子さんの低位舌で悪い事は?
低位舌ですと、「体の成長」に望ましくないことが起こります。
・歯並びが悪くなる
・滑舌が悪くなる
・口呼吸になる
・歯と顎が成長不足になる
低位舌って何?
低位舌とは「舌が正常な位置より、低い位置」にある状態をいいます。
口を開けた時に、ベロの横側に歯形が付いていたら要注意です。
正しいベロの位置はどこ?
普段、何気なく生活している中で「ベロの先ってどこにあるんだろう?」と考えた事はありますか?
実はベロの正しい位置は「先端が上の前歯、後ろの凹み」にあることが理想です。
この位置を「スポット」と呼びます。
読書やテレビを見ている時等、リラックスしている時に、無意識でスポットに舌が当たっていることが理想です。
低位舌ってどうしてなるの?
原因はいくつかあります。
・乳幼児期の口呼吸や舌癖
・アデノイドや口蓋扁桃肥大による鼻咽頭疾患
・アレルギー性鼻炎
・舌小帯の付着異常
歯科では、このうちの口呼吸や舌癖に、幼児期からアプローチすることで改善を測ります。複合的な要因の可能性もありますので、まずは専門家に相談することが大切です。
低位舌はどうやって治すの?
「低位舌は治りますか?」
「治療は可能です。MFTという口の周りや、舌の筋肉のトレーニング。矯正装置を使い治療する方法があります」
MFTとは、「口腔筋機能療法」のことです。誤った舌の動きや、唇や頬の周りの筋肉の不調和を「トレーニング」により改善し、正しい動きを覚え、習慣化する治療法です。
この方法は、食べ物を食べる時、飲み込む時の動作をスムーズにします。安静時の舌や唇の正しい位置の習得し、鼻呼吸をはじめとした口の機能の改善を測ります。
その結果、舌が正しい位置におさまると、気道が広がって呼吸が楽になります。舌が口蓋にピタッとつくことにより、顎の成長を促進し、歯並びも改善します。
成長期であれば、矯正装置を併用するとより効果的です。
山内歯科多治見おとなこども矯正では、「トレーナー」と呼ばれるマウスピース型矯正装置を積極的に取り入れています。
マウスピース矯正でトレーニンングし、治療した男の子
11歳の男の子です。
噛んだ時、下の歯が全く見えない事を相談に見えました。
この状態を歯科専門用語で「過蓋咬合」とよびます。
噛んだ時に、下の前歯が通常は上の前歯と噛まなければ入れません。しかし、下の歯前が上の歯茎を噛んでいる状態でした。
このままにしておくと、発音の障害や、歯の成長不足から顔貌の不調和が起きる可能性がありました。
原因は、低位舌です。具体的には、ベロが下がったことにより、奥歯の成長を止めてしまっていました。分かりやすい写真をお見せします。
この様に、ベロが奥歯の上の乗ってしまうことにより、歯が真っ直ぐ成長するのを邪魔してしまっていました。この場合は、早くベロの癖を改善しないといけません。
なぜならば、奥歯の成長が年齢を重ねると止まってしまうからです。遅くとも10歳までに治療を開始することをお勧めします。
残念ながら、大人になってからは低位舌を改善しても歯並びは変わりません。子供の成長期のうちに改善することで、歯並びも改善できます。
奥歯が倒れてしまっていた
口を開けた状態です。赤矢印の下の奥歯が、斜めに傾いています。ベロが上から抑えることにより、理想の成長ができていませんでした。このまま成長が止まってしまうと、奥歯が斜めのままです。
MFTとマウスピース矯正で治療を開始しました。
日中1時間の装着とトレーニング、夜間睡眠時の装着で治療開始しました。
年齢的には若干遅めでした。しかし、歯の発育年齢が遅めだったことと、本人とご家族の前向きな目標があった為、治る可能性が高いと判断しました。
治療開始1年後
本人の頑張りと、ご家族の協力のが大きく、とても望ましい成長を得ることができました。
奥歯はしっかりと、真っ直ぐ生えそろいました。その結果、しっかりと下の前歯が見える様になりました。
矯正後に起こる「後戻り」も心配はありません。なぜならば、歯を強制的に動かしたわけではないからです。ベロの癖が治り、歯と顎が成長した結果、良い歯並びになったからです。自分の力で獲得した良い歯並びは、長い期間維持されます。
ご両親より、ご感想も頂きました。
低位舌は、MFTとマウスピース矯正で治る場合があります。子供のうちに治療することで、歯並びも良くすることができます。
原因も様々ですので、まずは歯科医師にご相談することをお勧めします。
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年齢・性別 | 11歳 男性 |
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治療費 | 50,000円 |
治療期間 | 12ヵ月 |
治療回数 | 12回 |
リスク・注意点 | 疼痛、咬合痛、冷水痛、外科処置を伴う場合は腫脹や出血などを生じる事があります。 |
山内歯科多治見おとなこども矯正
歯科医師 山内敬士