「神経も取ってあるはずなのに、銀歯の中が痛みます!」
神経を取る治療をした歯が痛む為、心配になられてセカンドオピニオンにお越しになられた30代の女性です。
歯の神経を取って、銀歯を被せた歯が何故痛みがでるのでしょうか。神経がないので、痛むはずが無い、とお考えの方も多いかと思います。
実は、神経が取った歯が痛む場合は要注意です。
歯を誤って削ってしまった結果、偶発的に穴を空けてしまい、歯の外に土台がでてしまっていました。
通常はこの様に、歯の中に土台を建てます。
歯の外に土台がでてしまうと、身体が異物を除去しようとします。その際に、”違和感”や”噛むと痛い”といった症状がでます。
この場合は放置してしまうと、バイ菌が増えて、さらには骨を溶かしてしまうので、一刻も早い治療が必要です。
先ずは、異物である土台を除去します。銀歯を外した所です。
続いて、土台を外します。
歯の底に穴が空いてしまっており、肉芽と呼ばれる組織の増殖が確認できます。
誤って空けた穴は「パーフォレーション」と呼ばれます。本来の歯の形態から逸脱して、人為的に作られた穿孔です。
歯を救うためには、穴を塞いで、根を再消毒する必要があります。
無菌的治療をする為に、「ラバーダム」を装着します。歯の根の治療には基本です。
封鎖材料は「MTA」を使用します。
高い生体親和性
強アルカリ殺菌性
緊密な封鎖性
歯の根の再消毒(感染根管治療)を行い、MTAを詰めます。
術後の様子です。歯の底の穴にMTAがしっかりと入っています。
治療後、1ヶ月程度仮歯で経過をみます。
幸いにも、痛みと違和感は無くなったとのことで安心しました。
パーフォレーションは、早期に治療することで予後は良くなります。しばらく時間が経ってしまい、骨が溶けてしまっている場合は、治療が難しくなる場合が多いです。
パーフォレーションした場合は、早めの治療で修復できる可能性があります。
その場合は、高い生体親和性を有した”MTA”で治療をお勧めします。
山内歯科多治見おとなこども矯正
歯科医師 山内敬士