こちらの歯に虫歯がありますが、分かりますでしょうか?
白い詰め物は、子供の頃にされたシーラントがまだ残っているようです。
一見、問題なく見えますがレントゲンを撮ると問題が分かります。
レントゲンを撮影すると、白い歯と歯の間に黒い影が映ります。
赤丸部が虫歯です。
視診では全く問題なく見えても、レントゲンを撮影することで正確に歯の状態を診察することができます。
赤丸部の歯と歯の間に虫歯がありますが、この状態で虫歯の診断をすることは、歯科医師でも難しいです。
定期検診に通っていても、レントゲン撮影診察をしていない場合は要注意です。
治療前はラバーダム防湿をするのが基本です。
患歯の周りにビニールの膜を張り、水分や口の中の虫歯菌、歯周病菌が入らない様に徹底します。
精密な治療をする為に、ラバーダム防湿は欠かせません。
実際に削ってみると、虫歯が見えてきます。
黒くなっている所が、虫歯です。
治療の際に、なるべく健康な歯を削らず、最小限に虫歯だけを削るのがポイントです。
拡大鏡を使用すると、余分な歯を削る必要もありません。
最小限に虫歯を削りました。
赤丸部に歯の神経と血管が見えています。
一般的には、神経と血管が露出してしまうと、神経を取る治療をする必要があります。
しかし、神経は一度取ってしまうと、二度と再生しません。
さらには、神経がない歯は非常に予後が悪く、将来抜歯になる可能性が高まります。
ですので、神経はできるだけ残さなければいけません。
今回も神経を残せる可能性が一番高い「MTA」を使用します。
神経が見えている全ての部位に、MTAを詰めます。
この時もポイントは防湿です。水分が入らない様に徹底します。
MTAが固まった後、光で固まるアイオノジット(光硬化型グラスアイオノマー)で覆います。
無菌処置を心がけます。
アイオノジットは20秒で光硬化する為、MTAと非常に相性が良いです。
ダイレクトボンディングで虫歯を詰めます。
ダイレクトボンディングであれば、即日修復が可能です。
歯の形態をしっかりと模倣します。
丁寧に形を整えます。
噛み合わせを整え、きれいに磨きます。
ここまで治療時間は1時間です。
健康保険のプラスチック治療であれば10分で終わります。しかし、一手間かけることで、将来長持ちする治療ができます。
ほとんど治療の痕が分からないのがダイレクトボンディング治療の特徴です。
歯の神経を残すことで、大事なご自身の歯を守っていきましょう。
歯科医師 山内敬士
多治見おとなこども矯正